第5話 「お気持ちの形」
 大道芸をしていて、最後に必ずこんな口上を言う。
「楽しかったと思うお気持ちを、形に変えて、この中にお願いします。」
両手で、そっと帽子を差し出して。
そうすると観てくださったお客様から、色々な形の「お気持ち」が入る。
お金が圧倒的に多いですが、他にも色々嬉しい形の「お気持ち」を頂きます。
今回は、そんなお話。
 お金の他に、図書券や商品券が入ったり、時にはビール券だったり。
寒い季節にはあつあつの缶コーヒー、暑い季節には冷たいスポーツドリンク。
「頑張って」という気持ちが伝わってきて、とても嬉しくなる。
それから、たこ焼きやドーナツなど、差し入れのように頂く事もしばしば。
大人の方が入れて下さる事が多いけど、時には子供たちが自分の持ち物から
様々な、素敵な「お気持ち」を入れてくれる事もある。
 子供達にとっては、おこづかいは大切だろうに…首から下げた自分のお財布から
お金を入れてくれた子。今日のおやつを少しだけ分けてくれる子。
アメやガム、チョコレートなど…甘くて、私も大好きなお菓子。
自分で作ったビーズのアクセサリーをくれる子も。
 本当に、彼らにとっては、大切なものだと思う。
それを、そっと帽子の中へと入れてくれる、純な気持ち。本当に嬉しい。
ひとりひとりの子供を、抱きしめたくなっちゃいますね。
こんな気持ち、大道芸人じゃなきゃ、中々味わえないと思う。

 時には、噛んだあとのガムや、タバコの吸殻を入れられる事もある。
そんな時には凹むけれど、それはそれで、もっと楽しませてあげられる
パフォーマンスをしよう、という気持ちに変える。「なにくそっ」って。

 あなたのお気持ちはどんな形でしょう。
いつもお気持ちを下さるお客様、ありがとう!! どんな形でも嬉しい!
これからも大道芸人を支えてやって下さい。

                                                      2003年3月27日発行


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