第6話 「鞄の話」
 大道芸人といえば、道具を入れる大きな鞄がトレードマーク。
革の鞄、アルミノケース、旅行用のスーツケース、特注のトランク…などなど。
中には芸をする為の道具が、所狭し、と詰まっている。
私の鞄には、あふれる程の色々な種類の風船が、ぎっちり。
今回は、その鞄についての、お話。
 私は、大道芸を見るのもやるのも大好き。
大道芸人が大きな鞄を開けると、ドキドキわくわく…。
どんな道具が出てくるのか、どんな楽しい事が始まるのか…。
きっと、誰でもそんな気持ちで見てくれていると思う。
だから、大道芸人には、大きな鞄が欠かせない、とも思う。
夢や笑いをいっぱい詰め込んだ、鞄。素敵な大きな鞄。
たまに興味津々と、後ろから鞄を覗かれると…ネタがバレちゃう〜。(笑)
でも可愛いもんですよ。私の自慢の鞄だから、見てちょうだい!
実は今使っているのは、二代目の鞄。
初代の鞄は、悲しい事に…盗まれてしまった……。

 中に入っていた道具を失った事より、鞄に詰まっていた思い出が
なくなってしまった事の方がショックだった。
鞄ひとつで、どこでも風船芸をする事が出来たので、私にとっては
相棒のような存在だったんで。
逆を返せば、その鞄がなくなっちゃ、何も出来ないって事で。
現金も確かに入っていたけれど、どの他は、素人さんが持っていても、
何の役にも立たないガラクタばっかりだったと思うんだけど…。(笑)
今となっては、当時の相棒が、せめてその形を留めている事を、願うばかり。

 今は、新しい鞄ふたつに、また思い出を詰め込んでいる途中。
この鞄を持って、たくさんの人に、笑顔や元気をあげたいと思っている。
ただの道具入れではありません。
私やお客さんにとって、楽しい「びっくり箱」であって欲しい。
「さぁ。今度は何が出てくるでしょう。」

 大道芸人の鞄から出てくる、笑いやスゴイ事に、どうぞ惜しみない拍手を。
その笑顔や拍手を、最後にたくさん鞄に詰めて、持って帰りたい。
誰かの思い出を作る大道芸は、同時に自分への思い出作りでもある。
たくさんの人の思い出を、持って帰らせて下さい。
これから、もっと素敵な鞄になるように、お手伝いして下さい。

 みんなの笑顔が、鞄にとっても、最高の栄養剤!
もちろん、私にとっても…ね!!

                                  2002年5月27日発行


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